19:00
大正天皇嘉仁 : 西尾友樹
明治天皇睦仁 : 谷仲恵輔
有栖川宮威仁 : 菊池豪
原敬 : 青木シシャモ
牧野伸顕 : 古田テツタ
大隈重信 : 佐瀬弘幸
四竈孝輔 : 岡本篤
脚本 : 古川健
演出 : 日澤雄介
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すっごくおもしろかった!
劇団チョコレートケーキの作品を観るのは3本目ですが、社会派な作品をあまり偏った見方をせず、真っ直ぐ伝えてくれようとするところが好きだなぁと思いながら今回も観るのを楽しみにしていました。
そして今回の作品も2016年に観た中で3本の指に入るかもしれないぐらいおもしろくて引き込まれた作品になるという結果に。
思えば大正時代は短く、歴史として学校で習うのも大正ロマンぐらいでその他はよく知らなかった、というのが実際のところ。
嘉仁天皇がどんな方だったのかもよく知らなくて、調べようとしても簡単にはあまり出てこない。
色んな背景があって、詳しくは語られず歴史からも抹消されつつある大正天皇が、いかに人間的であったかがこの作品では描かれていて、人間らしい葛藤の中にいたことが随所に溢れていて胸が苦しくなりました。
フィクションではありますが、この時代の前後や現代の状況から考えて合点がいくところがたくさんあって、わたしにとってはノンフィクションのように見えるほど納得度が高かったです。
その椅子の表すものはもう言わずもがなですが、ラストシーンで、病気をおして自分の脚でなんとか歩こうとする嘉仁天皇がすべてを物語っているようで、あのシーンが一番泣けました。
軍国主義だった明治や昭和初期に挟まれて、短い大正時代は色々と激動の時代だったんだなぁと思い、歴史をきちんと見つめる力をつけたいと感じました。
歴史とは人が作るものだということを改めて思い知らされた気がします。
平成天皇退位がかなり問題となっていますが、それが明らかになる前からこんな視点で作品を創っていた古川さん日澤さんの先見の明や洞察力に驚かされるばかり。
次は5月頃に新作を予定されているようなので、それも楽しみに待っています。