思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

171214 熱狂 @東京芸術劇場 シアターウエスト

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19:00

アドルフ・ヒトラー : 西尾友樹
ゲッペルス : 青木シシャモ
レーム : 大原研二
シュトラッサー : 佐瀬弘幸
ゲーリング : 中田顕史郎
ヘス : 道井良樹
フリック : 山森信太郎
ヒムラー : 渡邊りょう
リヒャルト・ビルクナー : 浅井伸治

 

***

 

西尾さんがすごい。もうそれに尽きる。


劇チョコが好きになっていくつか作品を拝見していますが、西尾さんのあの人を惹きつける演技は何なんだろう。
今回のこの『熱狂』という作品は、ヒトラー独裁政権を確立するまでの過程、まさに熱狂に飲み込まれていく様子を描いているのですが、主役のヒトラーを演じている西尾さんあっての作品だと思いました。
特に演説の長シーンは圧巻ですね。
もうググッと前のめりになるかと思うぐらい引き込まれてしまって、あぁヒトラーに傾倒するってこんな感じだったのかもしれないと、ふと思ってしまいました。
今思えば色んな意味でとっても怖い…


人々を熱狂の渦に飲み込んでいく一方で、人を信じられず自らの思想を突き進む孤独みたいなものも西尾さん演じるヒトラーからは感じられて、完璧な総裁の人間味も少しずつ滲んでいたのもこのストーリーの中では大きかったと思います。
ただヒトラーが行ったことを仕方なかったと描くことは出来ず、だからこそ『あの頃の記憶の記録』が同時上演されているのですね。
二つ観ると色んなことに納得ができ、戯曲としてのあり方についても唸るしかない。


ヒトラーだけではなく、ヒトラーを取り巻く周りの人達も描いていましたが、ただ一人二つの作品に共通して出ているのが浅井さん演じるリヒャルトです。
純朴な田舎の少年だったリヒャルトが、ヒトラーに憧れて親衛隊になるまでがこの『熱狂』、その後子供も手にかけるような残忍さで描かれるのが『あの頃の記憶の記録』、その過程は描かれていませんが、戦争が彼を変えてしまったのかと思うとやるせない気持ちになります。
『あの頃の記憶の記録』のイツハクの兄の記憶を辿ると、良心は捨てていなかったと思って良いでしょうか。


それにしても今回も勉強になりました。

いつも色んなことを教えてくれる演劇はわたしの教科書でもあります。