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思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

160511 8月の家族たち @シアターコクーン

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18:30
バイオレット : 麻実れい
バーバラ : 秋山菜津子
アイビー : 常盤貴子
カレン : 音月桂
マティ・フェイ : 犬山イヌコ
チャーリー : 木場勝己
ビル : 生瀬勝久
ジン : 小野花梨
スティーブ : 橋本さとし
ベバリー : 村井國夫
リトル・チャールズ : 中村靖日
ジョナ : 羽鳥名美子

***

会場に着いて、公演時間を見てまず驚き。
3幕モノだとは知らず、最近短い1幕モノばかり観ていたので、時間を観てちょっと怯みました。
仕事終わりに3時間超えって結構つらいものがあり、どんなにおもしろい作品でも体力の限界が一度は来るんですよね。
今回は正直に言うと1幕がちょっとキツくて記憶がない部分があるのですが、2幕からのスピード感が素晴らしくあっという間に駆け抜けていったような印象を受けました。
終わってみたら長さなんて感じなくて、すごく良くできている作品だなぁと惚れ惚れしたぐらいです。

どんどんスピード感が増したように感じましたが、特に2幕がとても印象的で、バイオレットを中心として家族の色々な問題が次々と明らかになっていきずっとハラハラしっぱなしでした。
舞台セットとして食卓があるのですが、それが回転しながら舞台の中央に移動していくんですね。
色んな角度から家族一人一人が抱える問題を見つめることができたり、敢えて食卓を選んだ辺り、『食卓と言えば暖かいもの』といった固定概念を全部ひっくり返すようで、そんな演出がとってもおもしろかったです。
そして3幕、私は何でも知っているのよ、と家族を追い詰め崩壊させていくバイオレットの心の闇もですが、結局はみんなバイオレットの元から去っていき縋り付くのはネイティヴアメリカンのジョナだけ、というラストも何だかとっても寂しかったしこの家族の行く末を表していたようでなんとも皮肉だなぁと思いました。

キャスト全員が演技派で、それぞれの個性を感じてすごく良かったです。
麻実れいさんは何度か舞台で拝見してますが、存在感が半端ないですね。
ドラッグ中毒で、きっと誰かに寄り添いたいと思っていながらも突き放すしかできなくて、夫とも娘たちともうまく立ち振る舞えない母親。
わたしの母は正反対で暖かくひょうきんで明るすぎる太陽みたいな人なのでバイオレットの気持ちがあ理解できるとは言い難いのですが、見えない心の問題が何かあるんだろうな、ということは麻実れいさんの演技を観ていると感じることができました。

それにしても2幕のバーバラとの喧嘩は凄かったなぁ。
バーバラ役の秋山菜津子さんもものすごい演技派な方ですね。
たぶん初めて拝見しましたが、母親との関係、夫の不倫、娘との信頼関係など、バーバラも色々な問題を抱えていて、きっとバイオレットに一番似ているのはバーバラなんだろうと思います。
だからこそ衝突する。
ここでも兄弟多いのに兄弟喧嘩すらほとんどしてこなかったわたしにはとても衝撃的なシーンでした。笑

あとは音月桂さんもよかった。
こんなキャラも演じられるのね!とびっくりしたぐらい普段のイメージとは違っていて、とにかく明るくしゃべるしゃべる。
それは全部自信のなさや不安の表れだったということが後々明らかになっていきますが、その揺れ動く心の動きがとても鮮やかでした。
個人的には常盤貴子さんの方が演技派なのかな?と思っていましたが、キャラクターの性質かちょっとアイビーが地味に見えて、カレンの明るさが際立っていたように思います。

その他にも生瀬さんやさとしさん、村井さん木場さんといった男性陣も素晴らしく、2幕から出てきたさとしさんは「オイオイ!」と思わず言いたくなるような役でしたが、生々しくてさすがだなと思いました。
日本のベテラン勢はやっぱり間違いない。

ケラ作品を観るのは初めてだったのですが、重いテーマの作品をコミカルにスピード感溢れる作品にされていて、素晴らしい!と思わず唸りました。
ある一家のどうしようもないような悲劇を観ることで、お客さんには笑うしかないという状態になってもらいたい、といった趣旨のケラさんのインタビューを読んだことがあるのですが、まさにその意図通りになっていたのではないでしょうか。
また色んな作品を観てみたいと思う演出家さんでした。
次、またの機会に作品で会えるのを楽しみにしていたいと思います。