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思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

150821 필로우맨 ピローマン @ドゥサンアートセンター Space111

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19:30
カトゥリアン : 정원조 チョン・ウォンジョ
トゥポルスキー : 윤상화 ユン・サンファ
アリエル : 김수현 キム・スヒョン
マイケル : 이형훈 イ・ヒョンフン

***

韓国演劇に興味を持ち始めた頃から絶対にいつかはみたいと思っていた作品。
3時間の演劇で若干怯みましたが、初志貫徹で諦めずに観てきました。
お友達と一緒に観に行ったのですが、もうね、2人とも終演後には「凄い」しか言葉が出なくなって、軽く放心状態。
ご飯を向かい合って無言で食べるという不思議な空間となっていました。笑

うまく文字では表現できないのですが、役者さん全員に役が乗り移っているのかと思うほど、淀みなく発せられる言葉と、ぞっとしたり柔らかく見せたりする表情で、わたしはずっと鳥肌が立ちまくり。
こんなことってあるのですね。

皆さん素晴らしかったのですが、やっぱり一番凄かったのはカトゥリアン役のチョン・ウォンジョさん。
一体いくつ表情があるのですか?というぐらい場面に応じて表情や目の色がコロコロ変わり、カトゥリアンの異常な雰囲気がものすごく伝わってきて、色んなところでぞっとさせられました。
自分が作った物語を読むときにはものすごく生き生きしていて自信に溢れていたり、取り調べを受けるときには怯えていたかと思いきや刑事たちの闇を見つけたとたん目の色が変わったり、マイケルと話すときには優しさ溢れる家族の顔になったり。
人間の喜怒哀楽以上の感情が表現できるって凄いな、と感動すら覚えました。
パンフをみて調べてみたら、2007年の磁石でゴードン役もされているのですね。
物語を作って読む、といったあたりゴードンと共通点がありますね。
こんな方がどこに潜んでいたのか、韓国演劇界恐るべしです。

マイケル役のイ・ヒョンフンさんは半神で印象的な演技をされたいたので気になる存在だったのですが、No Name所属の俳優さんだったのですね。
両親の虐待で大人になれなかったマイケルを本当に子供のように演じていて、ストーリーの中ではそれがさらに辛かったです。
アリエルの場合もそうですが、愛されるべき存在である親から受けた傷というのは相当深くてものすごく悲しい。
こんなこと、本当にあってはならないですね。

親からの虐待を受け正当防衛で殺してしまったアリエルは誰よりもカトゥリアンやマイケルの気持ちが分かるんでしょう。
言葉は乱暴でも、根はすごく優しい人だと思います。
最後のシーンは日本版の戯曲本には書いていなくて、韓国版オリジナルなのか元々そうなのか分かりませんが、少し救われたような気がしました。
約束を簡単に破る、実は一番頭が狂ってるんではないかと思うトゥポルスキーとは大違い。

優しい言葉で穏やかに接するように見えて、常に酔っぱらっているトゥポルスキーがこの作品の中で実は一番狂気的だとわたしは感じました。
トゥポルスキーの作った物語なんか特にそう。
中国人の子供として描いているのは実は亡くなった自身の子供で、SOSにも気づきながらただ見てるだけで手を差し伸べなかった自分を塔の上の老人に例えているのかな、と思いました。
きっとそこから色々と狂ってしまったのね。

登場人物全員が抱えきれない色々な思いを抱いていて、様々な形に歪んでしまった悲しいお話でした。
それでも観てよかったと思う作品です。
もし日本でまた再演することがあれば観に行きたい。
言葉が全部分かる分、今回よりももっともっとツラくなりそうですが、こんなに衝撃を与えてくれた作品も珍しい。
ピローマンは8月いっぱいまでと公演期間は短かったのですが、信頼のNo Name作品はこれからもなるべく時間を取って観に行きたいと思っています。

おまけ。
space111名物の手描きボード。
お隣で公演中だったbare出演者の名前も色々。
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