19:00
マリアン : 鈴木杏ローランド : 浦井健治
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密かに楽しみにしていた演劇。
小川さんの作る舞台、なかなか好きなのです。
浦井くんも好き。
ちょっとハジけておバカな役も好きなんだけど、本当は繊細な人なのでは?と実は思っていたりします。
とんでもなく明るい役もシリアスも演じ分けられる稀有な役者さん。
ストーリー自体全く知らずに行きましたが、とってもおもしろい作りでした。
ひとつの場面が何度も演じられていて、それがちょっとずつ違った台詞になる。
こう答えたらどうなる?こういう設定だったらどうなる?あの時こうしていたらどうなる?
ひとつの鐘の音でどんどん繰り返されながら進んでいくのがおもしろかったです。
たられば、ってなるべく言わないように生きてきましたが、平行宇宙の中ではあらゆる選択肢とその後の未来があって、パラレルワールドももしかしたら存在するのかもしれない。
今こうして文章を書いているという選択も、書いていないという選択をすればまた違う未来になる。
それがきっと星ノ数ホドある時間と未来。
そんな無限の時間を限りあるものにするようなストーリーもおもしろかった。
これだけ無限の広がりを描いているのにわたしたちは結局時間に縛られる。
過去はただひとつだし、今もひとつしかない。
この矛盾の中でどうやって生きていくかがきっと重要なのでしょう。
マリアンとローランドの台詞のあちこちにも、気づかされるものが多かったです。
舞台セットもなんだかメビウスの輪のようで、時間を描いた作品を象徴してるのかなと思いました。
その中に立ってる木がきっと人生。
演じるのはすごく難しかったと思いますが、主演の二人の掛け合いがとっても素晴らしく、強気で弱いマリアンと優しく真っ直ぐなローランドがとってもお似合いでした。
個人的には浦井くんローランドの髪型がとても好きです。
素朴に見えるし、養蜂家という職業にもぴったりだったのではないでしょうか。
やはり浦井くんは信頼できる俳優さん。
1時間40分という、あっという間な作品ですが、観終わった後には、自分の生きてきたこれまでと、生きている今この瞬間を大事にしていくこと、そしてこれから星ノ数ホドある未来をしっかりと切り開いていけたら…そう思わせてくれる作品でした。
無限の中のただひとつ。
明日もがんばりましょう!