19:00
作 : クリストファー・ハンプトン
演出 : 蜷川幸雄
マチルド・ヴェルレーヌ
ウージェニー・クランツ : 立石凉子
イザベル・ランボー : 土井睦月子
モーテ・ド・フルーツヴィル夫人 : 加茂さくら
モーテ・ド・フルーツヴィル氏 : 辻萬長
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蜷川作品は難しいという固定観念から避けていたところがあったのですが、以前観た『わたしを離さないで』がとても素晴らしくて、やはり超一流の演出家さんだなと実感したこともあり、蜷川さんが影響を受けたというランボーを描いた作品を観に行くことにしました。
会場に入ってまず「うぁ!」とわたしを唸らせてくれたのが舞台セット。
アンティーク調の素敵な家具たちが並んでいてロウソクの炎が揺れている、なんとも幻想的な世界でした。
場面転換するときに家具が自動的に動き出して(いるように見えて)びっくりしました。
実際は黒子さんたちが動かしていたのですが、一斉に動き出したから「すごい、蜷川舞台はそんなこともできるのか!」と思ったら違いました。笑
若くて才能があって魅力的で、なんだかキラキラ輝いて見えた。
そういう眩しさがヴェルレーヌの心を捉えて離さなかったのでしょう。
ヴェルレーヌにはまったくもって同情はできませんが、人間の欲深さは愚かで哀れだということを生瀬さんがもの凄い迫力で演じていて圧巻でした。
最後のシーンがとても印象的で良かった。
ナイフを刺した手のひらにそっとキスをした最後のシーンがとても好き。
あのワンシーンにとてつもなく愛情を感じて、余韻を残して幕が閉じられていきました。
ラストが素晴らしいと作品自体が締まる気がしてぐっと気持ちが上がります。
官能的なシーンがある訳ではないのですが、なんとなく岡田さん演じるランボーの色気が香ってきて、こんな演技もできる俳優さんなんだと知ったことが嬉しかったです。
初舞台だとは信じられないぐらいセリフもはっきり届いたし、堂々と演じていて素晴らしかったです。
すたくのジョンができそう。いつかぜひ。
使われている音楽は若干聞いたことある(私を離さないでと同じ?)ものではありましたが、蜷川ワールドにどっぷりと浸ることのできる作品でした。
演出すると血が騒ぐというシェイクスピア作品も観なければ。
今は食わず嫌いはせずに学ぶ時期だと思っているので、時間とお金が許してくれる限り色々観てみようと思います。勉強勉強。