思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

171105 Othello @東京芸術劇場 プレイハウス

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13:00

<トネールグループ・アムステルダム
オセロー : ハンス・ケスティング
イアーゴー : ルーラント・フェンルンハウツ
デズデモーナ : ヘレーヌ・デヴォス
キャシオー : ロベルト・デ・ホーフ
エミリア : ハリナ・ライン
ロダリーゴー : パルム・デュコ・スヒュッツ
ビアンカ : アンネークリス・スフルティング
ブラバンショー、ロドヴィーゴー : アウス・フレイデイナス・ジュニア


演出 : イヴォ・ヴァン・ホーヴェ
美術・照明デザイン : ヤン・ヴァースウェイヴェルド

 

***

 

NTLiveで観た橋からの眺めの演出がすごく強烈に印象に残っていて、あの演出家さんが日本で公演を演るらしいと聞き、絶対観に行こうと楽しみにしていました。


まず目を奪われたのは舞台セット。

舞台上には大きな幕で囲われた空間があって、初めはそこで演じてたのですが、イアーゴーが策略を練り始めて物語が進んでいくと、それが風に舞いながら落ちていき、現れたのは透明なガラス張りの部屋。
その部屋はオセローとデズデモーナの部屋なのですが、舞台の中に少し異空間を作ってあとはむき出しになっています。
その部屋は出入りもできるしカーテンも閉められるのですが、密室を作ったりあえてオープンにしたり、ガラスを活用して部屋の後ろで別シーンを演じてみたりと、その部屋をうまく機能させていて新しくてすごいと思いました。
本来なら4時間ぐらいある作品を2時間45分にまとめてくれたのもすごく有り難かったし、オランダ語上演だから心配していた字幕も両サイドではなく中心上部に出してくれて、とっても観やすかったです。


全員白人が演じるオセローは珍しいそうですが、みんな迫真の演技で字幕と表情を両方観なければいけないのが惜しいほど素晴らしい演技でした。
オセロー役のハンス・ケスティングさんは大きくて眼光も鋭くて威厳に満ちたオセローにぴったりでした。
劇中も最初は冷静で、ロダリーゴーとイアーゴーが言い争ったときに割ってしまった(アクシデントで)ワイングラスの後片付けをされていました。
イアーゴーがめっちゃ一生懸命に話をしてるのに何食わぬ顔で後片付けしてて、あの頃はまだ冷静だったんですよね。なのにね…
最期はベッドルームでのシーンなのでパンツ1枚になっていたオセローですが、きっちり軍服を着て終わったのはきっとオセローの尊厳なんでしょうね。
思わずレミゼで光夫さんジャベがコートの前ボタンをきっちり締めて飛び降りるシーンを思い出してしまいました。
最後は泣いちゃったなぁ。


私のキジバト、と呼ばれていたデズデモーナのヘレーヌ・デヴォスさんはもう細くて細くて無駄なものは何もついてないような身体つきなのですが、可憐で知性溢れるデズデモーナを全身で演じているかのようでした。
カテコではスタンディングオベーションになった客席を観てヘレーヌさん、泣いてらっしゃいました。
きっとデズデモーナみたいな繊細な方なんだろうな。


あとはイアーゴー役のルーラント・フェンルンハウツさんは本当に悪い顔してた!
イアーゴーが狂言回し的な役割で進んでいく演出でしたがそれもまた上手くて。
小賢しさと腹黒さが融合したような表情(どんな表情だよ)で、オセローが騙されてわけだわ、と無駄に納得してしまいました。


それにしてもシェイクスピア作品はすれ違いばかりで、少し冷静になって考えたら気がつくだろうものを、と思うようなことがどんどん捻れていきますね。
でもそこがおもしろい部分で、人間の本質が表れるところなのですが、もう少しデズデモーナの声に耳を傾けていたらあんな悲劇にはならなかっただろうに、と思ってしまいますね。


橋からの眺めのときにも思ったのですが、セットの使い方が洗練されていて、流れる音楽もカッコいいんですよね。
ずっと流れているわけではなく無音なときもあるのですが、そのコントラストもたぶん計算されていて、その全部にセンスの良さを感じます。
プログラムに「すべての演劇は現代劇でなければならない」というのがイヴォ・ヴァン・ホーヴェさんの信念だと書いてありましたが、その言葉通り全く古典を感じなかった。
どうしたらこんなにカッコいい舞台が作れるんだろうと、帰ってきてから何度も反芻してます。
また観れる日は来るのかなぁ。


今回始めてイヴォ・ヴァン・ホーヴェさんの作品を拝見しましたが、どんな作品でも新しいものを見せてくれるのではというワクワク感のある演出家さんだと感じました。
WEでもBWでも、もちろんまた東京でもいいので、またいつか観れる日を楽しみにしています。

 

余談:この日、会場に成河さんがいらっしゃっていて、幕間でテンション上がりました。笑