14:00
上官 : 山西惇
新兵 : 松下洸平
語る女 : 普天間かおり
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前回観た木の上の軍隊があまりにも衝撃的で、立ち上がれないぐらいだったので再演を観るのをためらっていたのですが、松下くんの新兵がとっても好評なこともあり、急遽観に行くことにしました。
初演時の藤原竜也さんとは少しアプローチが違っていて、松下くんなりの新兵だなぁというのが率直な印象。
元々まとっている雰囲気が柔らかい俳優さんなので、憎めなくて自分の感情に正直な田舎の新兵が良く似合っていて、沖縄の言葉もなんだか可愛らしく、個人的にはとってもよかったと思います。
松下くんは内に秘める静かな情熱、みたいなのを表すこともとっても上手ですよね。
初演時は、後半にかけてどんどん藤原さん演じる新兵と山西さん演じる上官の神経が磨り減っていくような、観終わったあとには心がひりひりするような作品だと思ったのですが、演じ手のアプローチが違うとこんなにも違った作品になるんだな、とも感じました。
どちらかというと、今回の2人には絶望よりも希望が見えるというか。
今でも沖縄の方々は基地という問題を抱えていて、まだ終わっていないという意識は大きいのだと思います。
その問題提起も作品のコンセプトとしてしっかりあることは理解しています。
ただ、それでも『生きる』ということは希望であり、生き抜いた2人のこれからが、ただの絶望だけではないような気がしました。
それを作品の中から感じることができたことで、あの初演時のどうしようもないひりひりとは違う思いがしたのではないでしょうか。
今だからこそ、観ることができてよかったと心から思いました。
松下くん、良い俳優になってきたねぇ。(何様)