思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

160828 HAMLET THE PLAY @忠武アートセンター 小劇場ブラック

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14:00

햄릿 ハムレット : 김강우 キム・ガンウ
어린 햄릿 子供ハムレット : 정재윤 チョン・ジェユン
클로디어스 クローディアス : 김대령 キム・デリョン
거트루드 / 오필리어 ガードルード/オフィーリア : 서태영 ソ・テヨン
폴로니어스 / 무덤지기 ポローニアス / 墓守 : 최진석 チェ・ジンソク
요릭 / 호레이쇼 ヨリック / ホレイショー : 이현절 イ・ヒョンチョル
레어티즈 / 길덴스턴 レアティーズ / キルデンステン : 김지휘 キム・ジフィ
로젠크란츠 외 ローゼンクランツ他 : 송광일 ソン・グァンイル

 

***

 

ヨルチョン作品はやはり間違いなかった。
元々戯曲としても好きなハムレット
あの少ない人数で子役も出ていて、あの物語をどうやって見せるんだろう?とすごく興味を惹かれたので観に行ってきました。
結果は大正解!
人数が少ないことでちょっと思うところもありますが、今まで観たことのないようなハムレットですごく興味深くておもしろかったです。

 

今回のハムレットにはカラス割引というのがあり、黒い服を着ていくと半額になるという素晴らしい割引があると知ったので、事前購入はせず当日券狙いで行くことにしました。
なぜ日本は前売りが安くて、空席があるのにも関わらず当日券が高いのか、ちょっと理解に苦しむといつも思うのですが、韓国演劇の素晴らしいところは当日券割引があるところですよね。
しかも当日券でいい席が残っていることが多い。
今回もセンターブロックという素敵な席で観せてもらうことができて大満足でした。
通常の半額で、安いは近いはでもう満足度は最高です。

 

今回はキム・ガンウさんのハムレットにこだわって日程を選んだのですが、それも正解でした。
キム・ドンヨン演出家の作品は色々と観ているのですが、キム・ガンウさんとハムレットを演るのは7年ぶりなんですね。
ガンウさんは以前にも演っているからなのか、とても凛々しく苦悩するハムレットを演じていらっしゃいました。
気が狂ったフリをしてもハムレットって王子なので、その辺りが上手く表現されていると、最後のホレーシオの台詞が沁みてきていつも泣きそうになります。
あと、ガンウさんは静かな情熱を秘めているようなハムレットだったので、熱演に圧倒されることはあっても、ハムレットに感情移入することってあまりなかったのですが、ハムレットの心の内面の深さを感じて、ぐっと入り込めたような気がしました。
今回の演出が子供時代との対比をさせている演出になっている、というのもあるかもしれません。
子供時代のハムレットが思っていたような未来にはならなかった現実と、ハムレットの想いが最後には交錯して、カーテンコールで泣いてしまいました。
あのカーテンコール素晴らしかったな。

 

子供ハムレットもとても上手でした。
どっかで観たことあるような気がするんだけど、どこだったかな・・・
韓国の子役ちゃんたちも日本に負けず劣らず上手ですよね。
ミュージカルは日本の方がダントツに上手いと思っていましたが、Newsiesでもすごく存在感があって上手かったし、さすがエンタメ大国だな、と思います。

 

このハムレットでは通常台詞としゃれこうべでしか出てこないヨリックが出てきます。

このヨリックと子供ハムレットの掛け合いがとても愛らしくて、こんな風に友情を育んでいたのに数十年後にはしゃれこうべとして出会うなんて・・・と思うとそれも複雑な思いで最後にやっぱりジーンとしてしまいました。
ヨリック役のイ・ヒョンチョルさんは、『私に会いに来て』の容疑者役として拝見したことがあるのですが、その時も大きな目がぎょろっとしていて、おどおどしている姿が怪しく、まさに容疑者っぽくて上手いなーと思っていた俳優さんでした。
今回は私が観た役とは全く違いますが、道化っぽくおどけていながらも優しいヨリックを演じていて、やっぱり上手いなと実感。
普段描かれない人物だからこそ、新しい解釈で描かれていたのでとてもおもしろく観れました。

 

オフィーリアの最期もこの作品ではちょっと違っていたかな。
今回のオフィーリアは、気が狂ったというよりも自ら死を選んだように思いました。
絶望しながらも気高いまま死を選ぶという選択をする辺り、ちょっと韓国的な発想だなと興味深かったです。
ただ、ひとつだけ言わせてもらうと、オフィーリアとガートルードはせめて違う人にしてください・・・!
今回はジニさんで観れなかったことがとても残念だったのですが、やっぱり恋人とお母さんが同じ人ってどうなのよ、と思わざるを得ませんでした。
もしかしたらジニさんだと上手く演じ分けていたのかなぁ?
ソ・テヨンさんは演じ分けようとしているのは見えたのですが、結構若々しくて、ガートルードのドロドロしたあざとさみたいなのがほぼ見えなかったので残念でした。
オフィーリアも大事だけど、ガートルードも結構大事ですよね?
人数がこれだけ少ないなかで演じようと思ったら、1人2役っていうのは仕方ないのかもしれませんが、やっぱり貫禄出る年齢の俳優層が薄いということが韓国演劇界の課題ですよね。
今第一線の方々がある程度時間が立てばできるようになるのかもしれませんが、その辺りの安心感は出してほしいものです。

 

ハムレットというこんなにも有名な作品を大胆にアレンジしたヨルチョンとキム・ドンヨン演出家に、改めて敬意を表します。
イギリスの演劇に詳しい方は、あんなにも大胆に変更するなんてあちらでは不可能、と言っていたのが印象的でした。
日本で観た蜷川さんのハムレットも結構衝撃的でしたが、戯曲に沿ったストーリーではあったので、こういうハムレットはわたしも初めて観ました。
ハムレットという作品があまりメジャーでない(?)韓国だからこういうできるのかもしれませんね。

 

またこういう作品に出会えれば幸せです。