思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

160504 킬미나우 キルミーナウ @忠武アートホール 中劇場ブラック

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20:00
제이크 스터디 ジェイク・スタディ : 이석준 イ・ソクジュン
조이 스터디 ジョイ・スタディ: 윤나무 ユン・ナム
로빈 다토나 ロビン・ダコナー : 이지현 イ・ジヒョン
트와이라 스터디 トワイラ・スタディ: 이진희 イ・ジニ
라우디 에이커스 ラウディ・エイカース : 문성일 ムン・ソンイル

***

演技が上手く好きな俳優さんが出ていて、さらに制作がヨルチョンだということもあり、たぶんおもしろいだろうという自分の直感だけで何も予習せずに観に行きました。

障害を持っている息子とその父親の物語、ということだけは知っていたのですがその他は何も知らず、まずはユンナムさん演じるジョイの障害が結構重いことに驚き。
電動車椅子で生活をし言葉もしっかりとは伝えられない役なのでちょっと聞き取りが難しいところがありましたが、もうそれが上手いのなんの。
きっとものすごく研究されて作り込んできたんだろうなぁと思わされる演技でした。

それに呼応するわけではないですが、天使アルヴィンを演じていた人とは思えないソクジュンさんジェイクの演技。
当たり前ですが、この間まで観ていた人とは完全に違う人が舞台にはいて、最初のお風呂のシーンから最後のお風呂のシーンまで、父親らしさをものすごく感じることができました。
序盤から終盤へと一番変化が大きい役ですが、それをしっかり演じられていて、やっぱり凄い俳優さんだと改めて思い知る。
いつものごとく台詞があまり聞き取れてないのですが、それが分からなくても変化していく姿はよく分かったのでそれだけで大丈夫です。

ストーリーとしては、父ジェイクと障害を持つ息子ジョイ、父の妹であるトワイラを中心に話は進んでいきます。
自分は子供ではなく普通の人と同じように生きたいと願い独立を考えるジョイ、そうさせてあげたいけど出来ずに常にジョイを中心に考え生活するジェイク、兄とともにジョイを世話しながら恋に悩むトワイラ。
そこにジェイクの恋人であるロビン(既婚者)と、親もなく施設で育ったというジョイの友達であるラウディが絡んできて、様々な人間関係が構築されていきます。
そんな中ジェイクが病気で倒れ、家族はある選択を迫られる。(以下自粛)

キルミーナウというタイトルから考えれば思い付くことだったのかもしれませんが、観ているうちにあぁそういうことなのね…と気がつき、自分が勝手に想像していたお話の内容とは方向性が全く違ってきたので、一体どうなるの?と最後までかなり集中して目が離せなかったです。
途中までは最近観て個人的に大ヒットだった韓国映画の『偉大なる願い』のような雰囲気で、思春期を迎えたにも関わらず性欲を処理できず、ラウディと独立を目論む息子と、それに対してどうしたらいいか悩む父の葛藤を描いていたので笑えるところもたくさんあり、ちょっとニヤニヤしてしまいながら観ていました。
でも、ジェイクが倒れてからはその流れが一変。
最後には父と息子のお互いがお互いを想う気持ちに涙が止まらない。
ソクジュンさんもナムさんももの凄い熱演で、会場中が泣いていたように思います。
というか、会場中が号泣していました。
演劇でスタオベが起こる作品、韓国では初めてだったかもしれない。
2人ともこの日が初日で、しかもプレビュー公演だとは思えない演技で素晴らしかったです。

トワイラ役のイ・ジニさんも良かったなぁ。
制作会社も同じだし、作品全体としてどことなくプライドに似た雰囲気を感じるのですが、トワイラは現代のシルビアっぽい雰囲気でした。
ジョイのこともジェイクのことも大切にしていて、これはわたしの想像なのですが、ジョイのことがあって恋人とも上手くていかなくなったんじゃないかな?(この辺ちゃんと聞き取れてません)
それでも献身的で明るくて魅力的な女性を演じていました。
プログラムにはトワイラと自分は似てるって書いてましたね。
蛇足ですが、プログラムにジニさんが書かれた言葉がプライドに出てくる台詞でちょっとほっこり。
あとラウディとのことだけは考え直してっていうのも笑えました。
正直、わたしもそう思うよ。笑

ソンイルくん演じるラウディもとっても重要な役で、家族に変化をもたらす役割を担いますが、ちょっとウザくて(褒めてる)孤独で、大胆なようで怖がりで、血の繋がりはなくても家族と一緒にこれからも支え合って頑張って生きてくれたらいいなと思います。

ここ暗転必要かな?と思うシーンがいくつかあったり、本公演に向けて少し修正入るのかなぁと思う感じでしたが、おそらくもう観れることがないと思うので、プレビューとは思えないぐらいのクオリティの高い演技を観せていただいて満足です。
色々と考えさせられる作品ではありますが、人間の尊厳とか家族の愛情だとか、生と死とか、簡単に答えが出せるものではありませんが、その人らしく生きてその人らしく死ぬ、その一生の中で出会ったものを大切にして、わたしたちは精いっぱい生きるしかないのかなと思います。
刹那的な生き方はしていませんが(笑)、いつ何が起きても後悔しないように、毎日を大切にして生きたいですね。