思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

160216 夜と霧 @イタリア文化会館 アニェッリホール

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19:00

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芳雄さんがライフワークにしたいと言っている朗読劇。
原作も読んだことがなく、ナチス強制収容所のことが書かれてある作品というだけの認識で行ったのですが、大げさではなく、自分の人生に置いてきちんとこの本の内容を知ることができてよかったと思いました。
もしかしたら、自分で本を読むだけだとつらくて全部読めなかったかもしれない。
朗読劇だからこそ、芳雄さんの声で表情で歌に引き込まれてしっかりと集中して聴くことができました。

原題は trotzdem Ja zum Leben sagenで訳すと『それでも人生に然りと云う』、英題 Man's seaching for Meaningを訳すと『人間の意味を探す』、になるんでしょうか。
なんて重たくて素晴らしい言葉なんでしょう。
生きること自体が生きる意味、なんですよね。
芳雄さんが魂を込めて読んでくれた「それでも人生に然りと云う」という言葉はわたしにとってもものすごく意味ある言葉として心に届いてきました。

細かい本の内容は書きませんが、絶望を生き抜いた人たちがどんな気持ちでいたのか、わたしには一生分からないことかもしれません。
ただ、わたしはその絶望の最中よりも、その後のことがとても印象に残りました。
そうですよね、光が見えた、あぁ良かった、とはならないですよね。
希望を持つことすら許されず、生きているということだけがそこにあって、何もなかったんだから。
わたしは何も分かってなかったんだな、とそこは少しショックを受けました。
そこにいた人たちがどれだけ傷ついたのか、世界は何てことをしてしまったのか、どうやって日常を取り戻していったのか、そんなことを思うだけで心が痛みます。

芳雄さんはミュージカル俳優なので歌を通して感情を伝えることはもちろんお上手なのですが、やっぱりその前に俳優さんなんだな、と今回思いました。
全部読むんではなくて、ところどころ身体を使ってきちんと演技し、自分が体験してきたかのように語ってくれるし、その分情景がまざまざと蘇る感じがしました。
恐ろしくも美しい1人の人間の生、愛、絶望、光、そんなものが舞台にはあったような気がします。
ただ、劇の最後に芳雄さんが一曲歌うのですが、その歌声が素晴らしくてまた涙。
何も分かっていなかった自分に落ち込みそうになっていたのですが、あの歌で少し救われました。
ありがとうございました。

この朗読劇はCDも発売されていたり、FMで放送されたりもしているようですが、やっぱりわたしは劇という視覚で訴えられるものが一番いいと思いました。
ただ、いつかはきっと勇気を出して本も全部読んでみたい。
そんな気にさせてもらいました。