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思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

151124 スポケーンの左手 @シアタートラム

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19:00
トビー : 岡本健一
マリリン : 蒼井優
マーヴィン : 成河
カーマイケル : 中嶋しゅう

***

成河さんって凄いなぁってわりかし頻繁に思ってますが、今回も改めてそう思わされた作品でした。

ピローマンマーティン・マクドナー作の戯曲で小川絵梨子さんの訳詞演出作品。
マクドナー作品はピローマンしか観たことがありませんが、なんだか不気味でちょっと悲しい、ブラックユーモアがいっぱい詰められた作風だなというのがわたしの感想だったのですが、このスポケーンの左手もまさにそんな感じでした。
昔スポケーンで無くした左手をずっと探し続け男とそれを取り巻く詐欺師カップル、ホテルマンの4人のお話。

入ってびっくりしたのは、目の前にも座席があって、谷間に舞台があったこと。
シアタートラムって何回か来てますが、こんなつくりにもできるんだなーと初めて知りました。
個人的にはトラムと新国立劇場の小劇場が雰囲気的に似ているような気がしています。
ステージパターンも全く知らなかったぐらいなので、座席にこだわりなんてなかったので、自分の席が最前列だったことに驚き。
しかも物が飛んでくる可能性があることを事前に知らされる。
え?何それ?アトラクション?

その疑問は始まってすぐ分かりました。
とにかくステージが近い。
ほぼ会話ができるぐらいの距離で役者さんが演じます。
舞台上にはカーマイケルのトランクがあって、マリリンとトビーがそのトランクを「何か変な匂いがする…」と開けるのですが、なんとその中には大量のミイラ化した左手…!
思わず、ひぃっ!とわたしも声を上げそうになりました。
作り物だって分かってててもびっくりしますよ。
そしてその左手を言い争いながら投げるもんだからちょっと逸れたら最前列に座ってたら確かに物が飛んできます。笑
あとは窓を突き破ってカーマイケルが帰ってくるシーンがあるのですが、そのときに窓の破片も飛んできました。
刺さったりはしなかったので、たぶん危なくないように加工がしてあるのだと思いますが、見た目はガラスそのものでどんな材料を使っているのか気になります。

そんなアトラクション(違)がありつつ、ストーリーが進んでいくにつれて、マーヴィンの抱えている闇が明らかになっていくんです。
何もかも投げやりのように感じたマーヴィンの闇。
一見カーマイケルが失くしたものを探しているお話のように思いますが、これはマーヴィンの失くした心を探すお話なんだな、と最後に気がつきました。
それを成河さんがちょっとずつ心を見せたり閉じたりしながら演じていらっしゃいました。
その出し入れがまた絶妙で、結局のところマクドナー的なハッピーエンドに落ち着いたような気がわたしはしているのですが、それもまた分かりにくい感じで。
まぁその分かりにくさが個人的には好きだったりするのですが。

蒼井優ちゃんもとってもよかったな。
元気ではねっかえりな女の子役でしたが、身体能力の高さが随所に表れていて躍動感がありました。
舞台では清楚な感じよりもこういう元気な女の子を観ることが多いので、なんとなく優ちゃんはわたしの中でイメージが固まりつつあります。
ちょっとキャンキャン鳴いている小動物のようですが、とっても可愛くて愛らしい感じが他の人には出せない魅力だなぁと感じています。

岡本さんは黒人のコンプレックスを抱えた気の弱い役でしたが、優ちゃん演じるマリリンに「泣くな!」と一喝されていたのがちょっとおもしろかったです。
そんなに目立つ感じではなかったですが、作品の中ではそれがちょうど良かったのかな、と。

中嶋しゅうさんも今年は観る機会がたくさんありましたが、落ち着いた演技でいつも上手いなぁと思っています。
今回のカーマイケルはどこまでが本当でどこまでが嘘なのか、マザコンなのか違うのか(笑)、何を考えているかちょっと分かりにくい部分もあったのですが、それでも、もう見つかるはずはないのに人生の生きる糧として左手探しをしているのかな、と最後には思わせてくれるような演技でした。

作品を作り上げる過程で、演出・訳の小川さんとはたくさん話をした、と成河さんがおっしゃっていましたが、マクドナーらしい奇妙さと温かさと残酷さが融合したような舞台でした。
個人的にはとても好きな作品です。