思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

150915 夜への長い旅路 @シアタートラム

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19:00
メアリー : 麻実れい
ジェイミー : 田中圭
エドマンド : 満島真之介
ジェイムス : 益岡徹

***

拗れに拗れた家族の愛のお話。
愛しているのに突き放し、突き放しながら愛していると言う。
誰もが壊れたのは自分のせいじゃないと思いながら、全部自分のせいだと思っている。
ポスターにあるように、家族にがんじがらめになりながらそれでも解けないで、とも願っている。
4人が4人とも様々な想いを抱えながら過ごす夜までの時間がとても濃密に描かれている作品でした。

満島真之介さんと田中圭さんの兄弟を観たかったということもあるのですが、まず何に惹かれたってこの作品名です。
なんだか哀愁が漂っていて、これだけで何となく作品の持つ雰囲気が表されているなーと思ったのですが、実際観て作品名と内容があまりにもぴったりで驚きました。
ある家族の夜への長い旅路。
その先にあるのはわたしは再生の予感だと思いたいところですが、実際は本当の崩壊なんじゃないかな、と感じました。悲しいけれど。

実力派俳優たちの集まりなので、何も心配なく観ていたのですが、初見だった田中圭さんがすごくよかった。
映像で拝見しているときから気になる存在で昔から好きだったのですが、舞台でも期待を裏切らず素敵な姿を見せてくれて嬉しかったです。
アル中の兄ジェイミーを演じていましたが、弟や母への愛情が深いからこそ憎しみも強く、拗れている複雑な役を身体全体で演じられていたのではないかと思います。
特に弟エドマンドとのシーンがすごく良かった。
ジェイミーはもしかしたら、エドマンドの病気が良くなれば自分自身も寛解していくのでは?と希望が持てるところもわたしには救いでした。

一方で、母親の麻実さん演じるメアリーは、きっともう帰ってこないな、と思わせるような役でした。
麻実さんは舞台で観る機会も多いのですが、あの独特のハスキーな声と間と表情と、どこか哀愁を漂わせる女優さんですよね。
若い頃に戻った最後のシーン、きっとメアリーはあのまま過去の世界に戻ってしまうんでしょう。家族を置いて。
そして振り返らずに行ってしまう。

少し病弱な弟エドマンドを満島さん、お金に執着する父親を益岡さんが演じていらっしゃいましたが、完全に本当の家族にしか見えなかったところが素晴らしかったです。
台詞も多いので益岡さんが少し噛んでたりしていましたが、シアタートラムという狭い空間で見られたことも良かった。
大阪は少し大きな会場だったようなので、また違った見え方をしているんでしょうね。

決して楽しい作品ではないですが、ユージン・オニール自伝だというのでかなり衝撃的な作品でもありました。
家族ってなんだろう、自分の家族は本当に幸せだ、そんなこともふと思ったり。
役者さんの熱演にも引っ張られ、今一度考えることができてよかったです。
幸せな家族で感謝します。