思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

150714 サンセット大通り @赤坂ACTシアター

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18:30
ノーマ・デズモンド : 濱田めぐみ
ジョー・ギリス : 柿澤勇人
マックス・フォン・マイヤーリンク : 鈴木綜馬
ベティ・シェーファー : 舞羽ねね
アーティー・グリーン : 水田航生
シェルドレイク : 戸井勝海

***

お話は知っていたのですが、実際作品を観るのは初。
ノーマが哀れで、そのノーマを取り巻く人々もちょっとずつ狂っていて、全部が掛け違えたボタンみたいにちぐはぐで最終的には修復不能になってしまう哀しいお話でした。
この作品は何といってもノーマとジョーをどう演じるかによって見え方が全く変わってくると思うのですが、わたしが観た濱田さんもかっきーもすっごく良くて、しかも安蘭さんと平方くんも非常に好評だと聞いているので、すごくいいキャスティングだったのですね。

濱田さんは全身全霊でノーマで、大女優でありながらもひとりで立つことができない依存型の人なんだろうなという印象でした。
ジョーやマックスへの依存、過去の自分への依存、それらを断ち切ることができなくてどんどん深みにはまっていく。
なので最後のシーンは哀れではあるんだけれども同時に清々しくあるようにも見えて、女優としてではなくひとりの女性として解放されたかの様に見えました。
わたしは知らなかったのですが、パンフレットにはめぐさんノーマは薄々感づいていたと思う、と書かれているのですね。
確かにわたしもそう思いながら観ていました。
分かっていながらも現実から目を背け続けていて、それを見つめた瞬間に自由になる感じ。

かっきージョーは所々スリルミーの彼がチラつくんだけども、若くて前途溢れる青年が高みに押し上げられてそこから下へは降りれなくなったさまを滑稽なほど生き生きと演じていたように思いました。
自分自身の夢や野望みたいなのが大きければ大きいほど、ノーマから与えられるものは大きくて気がついたときには元には戻れないんだよね。
だって人間ってそういうものだもの。
等身大って言ったらおかしいですが、少し弱いノーマと自信満々のジョーといった感じでとてもバランス良く見えました。

わたしがこの作品で一番怖いと思ったのは実はマックス。
愛ゆえに、なのかもしれませんが、完全に愛の方向性を間違っていると思います。
マックスが早い段階で軌道修正してくれていたらあんな結末にはならなかったはず。
どうしても言えなかったのでしょうか。
濱田さん演じるノーマはどこかで助けて欲しかったんじゃないかな?と思うぐらいだったのでさらにそう思ったのかもしれないです。
それにしても綜馬さん(改名されて壮麻さんになったんですね)は、その狂気と愛情のギリギリのところを行ったり来たりしながらどちらとも取れるような演技をずっとなさっていていい意味で混乱させてくれました。
凄い俳優さんだ…!

映画の撮影所でのシーンだとかは少し古典的なミュージカルっぽくて派手な感じもありましたが、全体的に観てもちょっと摩れたような、灰色っぽい独特の雰囲気が感じられておもしろいなと思いました。
2幕最初にジョーが歌うタイトルロールと最後にノーマが歌う歌がしばらくは頭の中をぐるぐるして自分なりにノーマやジョー、マックスは何を考えていたのかを色々と考えていたのですが、こうやって文字にすることで消化できたような気がします。

『50歳は悪いことじゃない、25歳のふりをしなければ』

ノーマが一番欲しくて聞きたくなかった言葉。
ジョーは真っ直ぐですごく残酷。
掛け違えたボタンをどこかで直すことができれば良かったのにね。