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タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

150419 リチャード二世 @さいたま芸術劇場 大ホール内インサイドシアター

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13:30
リチャード二世 : 内田健司
イザベル : 浅場万矢
ジョン・オブ・ゴーント : 葛西弘*
ヘンリー・ボリングブルック : 竪山隼太
ヨーク公爵エドマンド・ラングレー : 松田慎也
ヨーク公爵夫人 : 百元夏*
オーマール公爵 : 竹田和哲
ロスター公爵夫人 : 神尾冨美子*
トマス・モーブレー : 堀源起
ジョン・ブッシー : 松崎浩太郎
ウィリアム・バゴット : 鈴木真之介
ヘンリー・グリーン : 浦野真介
ノーサンバランド伯爵 : 手打隆盛
ヘンリー・パーシー : 白川大
ロス卿 : 小川喬也*
ウィロビー卿 : 高田誠治郎*
バークレー卿 : 中野富吉*
ソールズベリー伯爵 : 竹居正武*
カーライルの司教 : 宇畑稔

*さいたまゴールドシアター

***

蒼白の少年少女たちによるリチャード二世。
すごく観てみたかったさいたまネクストシアターの作品を観ることができました。
本当は出遅れてしまってチケットが取れなくて、当日券狙いで行こうと思っていたところ優しい方にお譲りいただくことができて無事観劇。

劇場はさいたま芸術劇場内のインサイドシアターで、普段は楽屋とか稽古場として使われるのかな?
大ホールの地下にあるような会場。
客席とか舞台を自由に作ることができそうでとても興味深い劇場でした。
ヤングビックシアター(ロンドン)みたいな感じなのかな?と勝手に想像。
今回は長方形の長い部屋の半分ぐらいにコの字型に客席が作られていて、蜷川さん特有の奥行きをもの凄く使ったような舞台になっていました。
その奥行きを使ってネクストとゴールドの役者さんが所狭しと演じるので、観客というよりは民衆みたいな気持ちでわたしは観ていました。

歴史にもシェークスピアにも詳しいわけでもなく、リチャード二世についても事前にWikipediaで調べただけという初心者ですが、リチャードを演じた内田さんが凄すぎて、もう息が止まりそうになりながら観ていました。
ハムレットで観たときは線の細い影のある役者さんで声聞こえないよ!と少し思っていたのですが(笑)、やっぱりタイトルロールを演じるだけあってもの凄い方だったのですね。
何が凄いのかうまく文章にできないのですが、何もかも削ぎ落としたような虚無感、というか、正気のなさというか。
それでいて目だけがもの凄くギラギラしているのです。
蜷川さんの秘蔵っ子なだけありますね。

作品としては、歴史的に見ればボリングブルックが望まれる君主でリチャード二世は暴君だったということのようですが、この作品での描き方はちょっと違っていた。
王座を奪ったボリングブルックでさえ最期まで、描かれてはいないけどリチャードを処刑した後も、一生リチャードには敵わないと思っていたんじゃないかと思うほどの気高さでした。
王座から転落するのだけど全くそうは見えなかったというか。
床に十字架のような影があり、その上にボロボロになったリチャードどが横たわるシーンがあるのですが、痩せた内田さんの様子が本当にキリストのようでびっくり。
ボリングブルックはきっとリチャードの影にこれからも苦しんでいくんだろうな、と思った瞬間でした。

あとは所々で出てくるタンゴが印象的だった。
ゴールドの方とのタンゴ、男性同士のタンゴ。
ところで男性同士のタンゴってすごく色っぽいですね。
リチャードは両性愛者だったのかな?そんな風に取れるシーンがこのタンゴにも表れていてなんだかドキドキしました。
昔のことはよく知りませんが、身分の高い人たちの両性愛者っていうのはよくあることなのかも知れないですね。

ネクストの若手とゴールドの老人たちを共演させるという試みも蜷川さんならではの発想ですね。
わたしが観に行ったのは千秋楽だったので蜷川さんもお話はされていませんがご挨拶にいらっしゃっていました。
車椅子で酸素を付けた状態でしたが、それでもなお演出家としてこんな作品を作り上げてしまうのだから凄いです。
ハムレットから始まり十二夜もそうだけどシェイクスピアに最近すごく興味があって、できる限り多くの作品を観たいと思っているところで、だってのですが、蜷川さん演出でのシェークスピア全作品上演まであと数本だそうなので、神様どうか全部上演できますように、とカーテンコールを見ながら祈りました。

ネクストは一年に一回の公演なのかな?
迸る情熱みたいなのが出演者から溢れ出ていて、作品を観るだけではない楽しみがあるな、と感じました。
来年もぜひ観に行きたいです。