思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

140720 수탉들의 싸움_cock 雄鶏たちの闘い @ドゥサンアートセンター Space111

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18:00
John : 박은석 パク・ウンソク
M : 김준원 キム・ジュンウォン
W : 손지윤 ソン・ジユン
F : 선종남 ソン・ジョンナム

【あらすじ】
ROUND1
ジョンは長く恋人関係だったある男(M)との関係を整理した。いつからか自分を子供のように扱うMの態度に我慢できなくなったのだ。そんなある日、通勤路でよく出会うある女(W)がジョンに声を掛けてくる。ジョンは自分も知らないうちに少し前に別れたMとの関係について語ってしまい、Wも自分が経験した離婚の痛みについて話し始める。短い会話の中で互いを理解し始めた2人は、ジョンがこれまで一度も女性と愛し合ったことがないにも関わらず、素晴らしい一夜を過ごすこととなる。しかし、Mを完全に忘れられないジョンは突然MにWと愛し合ったことを告白する。Mは突然ジョンとの間に介入したWの存在が邪魔で嫌だが、彼女を夕食に招待することにする。
ROUND2
ジョンとM。そしてWの夕食。ぎこちなく不自然な状況を作ったジョンを絶えず非難するMと違い、Wはジョンを庇い慰めたりする。ジョンはこんなWと一緒なら自分も平凡で幸せに生きていけるかもしれないという希望を抱くようになる。しかし突然こんな夕食にMの父親(F)が入ってくる。Mの支援軍を自任するFはジョンに自分のアイデンティティを取り戻しなさいと説教し始める。各々自分を選ぶことが重要だというMとW、そしてMの元に戻るとこを督促するF、その間でジョンは簡単には決定を下せずずっと悩み続けるのだが…さぁジョンはどんな選択をするのだろうか?
[パンフレット SYNOPSIS 翻訳]
(長い上にちょっとネタバレあります。)

***

すっごい面白かった!なんだこれ!笑
あらすじを読んですごく面白そうだと思っていたのですが、期待感そのままに駆け抜けた2時間でした。
登場人物は4人だけ、軽く照明が手伝うぐらいで舞台装置も何もない円形舞台上で、ほぼ会話だけですべてが進んでいきます。

本当に『闘い』なのでもう言葉の量が半端なくて、特にずっと出ずっぱりのウンソクさんは覚えるセリフ量もものすごいものがあったと思うのですが、言い淀むことなく演じていて凄かったです。
思わずご本人に大変じゃないですか?とお聞きしたのですが、「ちょっと大変だけど俳優だから」と超かっこいい答えが返ってきました。
すごい。惚れる。笑

舞台上のウンソクさんはそれはもう魅力的で、母性本能くすぐられまくりです。
言葉で表すのがちょっと難しいので、あんまりしないのですが拾い物写真の力をお借りして残しておきたいと思います。
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これ!この顔!笑
基本的にずっとこの困り顔なんです。
MとWどちらかを選べと選択を迫られ、ジョンはどっちを選ぶの…?!と最後までドキドキしながら観客は観ているのですが、こんな顔されたらもうたまらないです。
MとWの気持ちが分かるというか、絶対に離したくないと思ってしまいそうです。

あとわたしが個人的に好きなのがこのシーン。
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良くこのシーン出てくるのですが、Mに責められてとジョンが「왜~?!」 と肩を竦めるシーン。
ウンソクさんの手がものすごくきれいなのと(手フェチ)、腕が長いので手を広げるアクションが狭い舞台によく映えるんです。

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あとこれ。
髪をかき上げて頭を抱えるシーン。
これもよく出てくるのですが、その下の困り顔がもうたまりません。
すっかりジョンの魅力に取り憑かれてしまったわたしです。

M役のキム・ジュンウォンさんもとっても良かったです。
ジュンウォンさん、演劇界では非常に有名で素晴らしい俳優さんであることは知っていたのですが、この作品で初めてお目にかかることができました。
ジョンを諭すところと諦めようとするところ、緩急の付け方が素晴らしい。
肩を震わせて泣いている後ろ姿にわたしも泣けてきました。
ウンソクさん共々信頼できる俳優さん名鑑に記名。
あと、何よりもお人柄が素晴らしく、すごく感動する言葉を掛けてもらいパンフレット差し出す手が震えました。
そくさま以来の感動で、しかも場所もドゥサンアートセンターという偶然。
あそこには何かあるのか…笑
この素晴らしい出会いに感謝したいと思います。

あと、W役はドゥソプさんの奥さんことソン・ジユンさん。
ジェボムさんとのヨネシデ以来。
小さくて可愛らしい方ですが、今回はなかなかパワフルでしたね。
母性溢れる演技でジョンの心を揺さぶっていました。
肩を落として小さくなるジョンを優しく抱きしめるシーンが好きです。
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Mとの対決シーンも最初はものすごく神経戦で、結局は感情むき出しの闘いになる過程がすごくおもしろかった。

全体的に大満足でみんなにオススメしたい作品なのですが、ひとつだけ不満があるとしたらFなんですよね…
韓国特有の若い人がカツラをかぶって中高年を演じる、というやつで。
あれは何なんでしょう?
カツラがまず不自然だし、わたし個人的にはFにはもっと落ち着いて俯瞰するような、3人を諭すような立場でいてほしかったなぁと思いました。
息子であるMの味方をするのは大いに結構なのですが、3人と同じトーンじゃなくても良かったのかなぁ、と。
イギリスで観た方の感想ではそんな激しいイメージを受けなかったのですが、あれは韓国の設定なのかな?
韓国人っぽいと言えばぽいのですが。
この辺りは若い役者さんが多い韓国演劇界の課題なのかもしれません。

Wの言う通り、Wと一緒に歩けば明るい未来が待っている。
Mの言う通り、Mといれば世界で自分が一番好きなものを分かって与えてくれる。
ゲイであるとかないとか関係なくひとりの人間として愛する人は誰なのか、ジョンはチーズケーキを食べたのか、結局答えは描かれてはいないけど、そんなラストシーンもすごく気に入りました。

頭の中から舞台を動き回る俳優さんたちが今も離れません。
スピーディでスリリング、人を愛するって何なんだ?と問い掛けられるようなメッセージ性もある作品でした。
配役が難しいけど、これはぜひ日本でも舞台化してほしいです。日本語で台詞が聞きたい。
ヒボとピローマンの台本は売っていたので買ってきたのですが、Steady Rainとこの수탉들も売ってくれればいいのになぁと思いました。

興奮の余り長々と書き綴ってしまいました。
数少ないですが、わたしの演劇鑑賞作品の中でも上位に入る好きな作品になりそうです。