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【記事和訳】<RED> カン・シニル-カン・ピルソク ”強烈なREDへの挑戦”

男2人の演劇

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-2009年、英国で初演された<RED>は昨年、トニー賞6部門を受賞したブロードウェイ話題作です。韓国初演と国内観客には多少違和感を与える作品ではありますが、第一印象はいかがでしたか。

カン・シニル(以下シニル) : とても強烈でした。'難しい演劇'だということを練習しながら改めて感じています(笑) しかし、それは俳優たちの役目であり、私たちがその困難を克服して舞台を形象化した時、観客たちがすごく面白いだろうという確信が湧きました。<RED>を選んだ理由はもう一つあります。オ・ギョンテク演出家がこの作品をすると決めたとき、最も先に浮かんだ俳優が私だそうです。私にとってはとても大きな感動でした。それでマーク・ロスコ役は、無条件に引き受けなければと思いました。

カン・ピルソク(以下ピルソク) : 台本を読んで 'わぁ、本当にいい!'と思いました。僕がしたかった話が込められていたので驚きました。'美術'に対する劇ですが'公演'に変えてみることもできると考えました。実は最初は難しく感じられなかったんです。ところが深く入ると意味するところが多いですね。その意味を一つ一つ議論して最大限'誤訳は避けよう'という考えで練習しています。


-マーク・ロスコは、実存人物ですが、彼の助手ケンは仮想人物です。旧世代と新世代を象徴している2人は、芸術の純粋性と商業性について激しく議論します。二人の対立が<RED>のテーマであり、楽しむ要素であるようです。

シニル : 'マーク・ロスコ'という偏屈な芸術家の人生哲学を完全に理解するのはとても難しいです。しかし、この演劇に貫通するテーマはどの面から見てもあまりに通俗的で普遍的です。こういうセリフがあります。"子どもは父親を追い出さなければならない。尊敬するが殺さなければならないんだ。" レッド(Red)は情熱であり希望である同時に挑戦を意味します。この人も若い時は、そのような挑戦をしてきたということです。立体派を打ち破って抽象表現主義を生み出した画家だから。ところが今は若い世代が彼に挑戦して来るんですね。実際に'父'となってみると、押し出されたくなくて拒否するんでしょう。それが現実の私たちであり、既成世代の姿ではないかと思います。結局、歴史は循環して挑戦は絶えず起こります。<RED>を準備しながら私も'私'を振り返ることができました。この演劇が誰かには人生を照らしてみるきっかけになると思います。


-ロスコとケンは絶えずお互いに質問を投げかけて答えを探します。そのように直面する過程で多くのことを感じ理解するようになります。カン・ピルソクさんが'先輩カン・シニル'に学んだことがあれば?

ピルソク : 偉大な発音?(笑) これまでは俳優のディクション(Diction)をあまり大事にしなかったんです。状況に対して感情さえあれば必ず観客に聞こえると思っていたんですよ。ところでカン・シニル先生の演技を見ていてその考えが崩れました。まるで台詞で絵を描くような感じを受けたんです。それで、最近は発音練習を頑張っています。

シニル : 発音が俳優の必須要件だとは思いません。ピルソク君の言葉が正しいです。感情を体現して正しく表現するのが演技で、台詞は副次的なんです。実は私も発声が完璧な人ではないです。親知らずを抜いたあとでは'ㅅ'発音がうまくいかないったら(笑) 年を取るにつれて体が少しずつ退化することも同じです。それで最近私は私の発音をあまり聞きたくないです。


-カン・シニルさんが'後輩カンピルソク'から発見した点があれば?

シニル : 個人的に会ったのは初めてですが、<私の心のオルガン>(2010)というミュージカルを見たことがあります。他の俳優を見に行き、偶然見るようになった。その時は名前も知らなかった(笑) でも歌も上手で演技も上手いんだよ!真剣ながらもとても溌剌とした俳優だと思いました。ピルソク君は練習してる間ずっと絶えず研究します。さらに不思議なのはそうしながらもいつも愉快だということ。それが本当に簡単じゃないんだ。私はどこかに嵌ったら違うことが見えません。どうも冗談を投げかけることも分からなくて。でも、この友人は二つとも全部します。悩みと情熱を心に抱いていながらも他人にばれず愉快だなんてどれだけ凄いことか!


-ピルソクさん、<RED>に対する'研究'は終えましたか?

ピルソク : 研究は少しだけしようと思います(笑) 今までは徹底的に分析して理解したあとで舞台に上がるスタイルでしたが、そうすると、かえって瞬間の真実や感情を逃すのではないかと思いました。今回はカン・シニル先生についてぱっと衝動的に動いてみるつもりです。先生がそばにいらっしゃいますので信じて本能的にやってみるつもりです。

シニル : え、どうしよう?俺は君の研究に頼ろうとしてとしたんだけど。(一同爆笑) 研究と分析、そういう面でたくさん不足しているんです。私は徹底的に練習時間を信じます。演出家と相手の俳優、そしてスタッフみんなといっしょにする時間を信じています。家では特に台本を見ません。とても怠け者ですよね(笑) 以前、地下鉄に乗って通っていたときには移動しながら台本を読んだりしましたが今はそんな時間がとてもありません。それで練習時間をもっと密度の高いものとして使おうと思います。もちろん、頭の中にはいつも留めておきます。台詞を覚えることより話の流れを理解することがもっと重要なようです。


-<RED>の核心は'悲劇'です。実際、私達の日常自体が些細な悲劇の連続ではないでしょうか?

ピルソク : 僕たちスタッフの中に'(イ)ギュシク'という友人がいます。"コーヒー飲みますか?"と、その友人が聞きました。"ヒョン、温かいのですか?" "いや、冷たいの。" また聞きました。"ヒョン、濃いのですか。" "いや、薄く。"また尋ねました。"ヒョン、シロップ入れないですよね?" "いや、シロップ入れて。" と。3回を聞いて、3回すべて違っていたんです。面白かったです。その時までは喜劇でした。でも…そう聞いておきながら熱いコーヒーを買って来たんです(笑) 僕には悲劇でした。多分ギュシクにとっては途方もない悲劇だったでしょう。その後僕が一時間にわたりひどく小言を言ったから。

シニル : うん…。私たちの悲劇は2人の男が出演する劇をしているということ!大きな悲劇だよ。さらに演出、助演出でも足りず、助演出補まで男て、これは壮大な悲劇だろう。練習室にぽつんと男5人じゃないか。(一同爆笑)

ピルソク : 鷲の5兄弟ですね。うわー、軍隊の匂いがしますね。

シニル : 人生とは結局愛なのに、ここには愛どころか、獣の泣き叫ぶ声ばかり(笑)


-画家マーク・ロスコが恐れるたった一つのことは"いつかブラックがレッドをのみ込んでしまうこと"でした。俳優として恐れるものはありますか。

シニル : 演技ができなくなる時を一番恐れています。今はまったく想像ができないけど、すごく恐いです。

ピルソク : 私も同じです。演技ができなくなるほど恐ろしいことはありません。


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うりそくぺうの演劇を観に行きたいのですが、事前情報がほとんどないうえにそこまで語学力に自信がないので資料集めのために和訳。
とりあえず劇場ロビーにある美術の説明は読んで入った方がいいらしい。
果たしてわたしに読めるかなー?笑