思ったことを好きなだけ

タイトル通り記録用の超個人的ブログです。音楽・旅行が好き。

【記事和訳】ジェボムさん나쁜자석を観る (2009年)

[キム・ジェボムと一緒に観る<悪い磁石>]
キム・ジェボムとデートを約束した日、空に穴が空いたかのように一日中大粒の雨が降り注いだ。昼には<私に会いに来て>の練習に、夜には<マイ・スケアリーガール>の公演に忙しい日々を送っている彼だったので、約束を先送りすることは難しい状況だった。<私に会いに来て>で彼は今まで演じたキャラクターを、-<マイ・スケアリーガール>の愛に飢えたデウ、<屋根の上のバイオリン弾き>の小心な仕立て屋モドゥル、<キム・ジョンウク>のアリバイ小心青年キム・ジェボム、慎ましく愛を告白した<パルレ>のソロンゴなど-違う姿での変身を試みている。精神異常病歴を持った男と変態性欲者、こぎれいな会社員のようだが、何か分からない秘密を大事に持った男など、3人の容疑者を演じる予定だ。劇場に移動する間にもし服が濡れたらどうしようという気もした瞬間、彼がロビーへ現れた。予想とは裏腹にあまりにもすべすべした姿に少し驚いた。実は彼は大学路ワニ劇場から'歩いて3分の距離'に住んでいる町内住民だったのだ。雨が降る日は窓を開けて雨音を聞き漫画本を読むことが好きな純粋青年キム・ジェボムと一緒に童話のような演劇<悪い磁石>を観覧した。


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恥ずかしい告白をしよう(絶対に笑わないことを願う) 。公演を観る前まで僕は<悪い磁石>を”えいっ〜!悪いやつ(こいつの方言バージョン)”だと思っていた。男たち4人が出演するが皆が親不孝者なのだと思っていた。公演観覧を前に情報検索するとどれだけ恥ずかしかったことか!<悪い磁石>は僕の予想とは全く違う作品だったが、濃い余韻を残すこの作品がなぜずっと舞台で上演され続けているのかが明確に分かった。
<悪い磁石>は29歳のミノ、ウンチョル、ボングが幼い頃一緒に過ごした友達、ウォンソクの死を回想する過程を通して同じ極の磁石のようにお互い押しあってしまうしかない現代人の孤独と寂しさを描き出す。公演は観る人の思いのままに、文字は受け取る人の思いのままに解釈される。<悪い磁石>はひとつの大人の童話を読んだ感じを与えながらも'これが現実なんだな'という思いに胸が詰まってくる作品だった。劇中で俳優たちは現在と過去を行き来し、9歳、19歳、29歳の姿で舞台に立つ。9歳のミノ、ウンチョル、ボングは自分たちだけの宝物をタイムカプセルに入れて埋めるために秘密の場所を探すが、ソウルから転校してきたウォンソクに出会い友達として受け入れる。
世界に何も邪魔するものもなく走り回る9歳の友達たちを観るのはかなり面白みがある。ミノのスーパーマンの服装と子供たちの姿は漫画『20世紀少年』が思い浮かぶのは僕だけだろうか?廃校を訪れる9歳のミノ、ウォンソクと29歳のボングがオーバーラップする場面ではさらにそんな気がした。公演を観た多くの人々がそうだったように僕も9歳の友達たちを観て幼い頃の僕を思い出した。小学生の頃の僕は今よりはるかに内向的な子供だったと思う。劇中で似ているキャラクターを探せと言うならウォンソクではないだろうか(もちろん重症ではない)。雨が降る日は家へ帰る道でひとり雨に濡れて飛び回るのが好きだったし、きれいな服に着替えて暖かい部屋の中で身体をほぐすときの気だるい気持ちがとても好きだった。友人たちと付き合わなかったわけではないが、大学前まで深く付き合った友人があまりいなかったので、一緒にソバンチャ(消防車)を踊ってただ幸せそうな劇中の友達たちが羨ましかったりもした。

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ウォンソクの童話<空の庭園>と<悪い磁石>が残りの3人の俳優によって劇中劇で再現される場面も楽しみを抱かせてくれた。'僕たち'になれないということを悲しむ4人の友人たち、そして僕たちの心の中を覗いてみるような余韻を残した美しい童話だった。しかし何より印象的だったのは皆そうだろうがボングが作った装置で花びらが舞台いっぱいに噴き出した最後の場面だ。ウォンソクに対するそれぞれ違う記憶を持ち。'友情'という名前で包まれた3人の関係を観ながら'これも生きるということだな'と思い、肩も心も重くなってしまった。変わっていくすべてのものに名残惜しさが残る瞬間だった。美しい光景を作り上げた花びらがすぐ全部落ちてしまったときは虚しくて憂鬱になった。あたかもロミオが死ぬや否やジュリエットが目覚めた時のように、脈がどくんと鳴るようだった。3人がそれぞれに残った傷のあいだに残るのは、ウォンソクの童話は、彼らに新しい芽を芽吹かせることができるのだろうか。
ウォンソクの死後10年ぶりに再び出会ったミノ、ウンチョル、ボングが彼に受けた影響がもう少し明確に観せられればという惜しさが残る。少しは、一ヶ月の間、廃校に閉じこもって彼を思い出すために装置を作りながら、ウォンソクにバンドから出て行ってほしいと話したことをすまなく思うボングの気持ちは分かる。だが19歳以降、いまだにウォンソクを失った傷から抜け出せないミノはそこまで大声をあげて怒らなければならなかったのだろうか。彼がなぜそこまでウォンソクに執着するのか、なぜ彼が生きていると信じるのか、もう少し具体的にみせたとしたらどうだったのだろうか。
少しの間だったが、劇中で最も現実的な人物として描かれている出版社に勤めるウンチョルを見ながら、'僕だったらどうするだろう'という風に考えてみた。俳優なので僕もどうすることもできず悪いキャラクターに魅力を感じたようだ。その前にまず<私に会いに来て>の3人の容疑者を通じて悪い男の姿を見せることができそうだ。出番は多くないが、<マイ・スケアリーガール>ニューヨーク公演を除いて2009年最後に参加する公演であるだけに、最善を尽くして悪い演技を見せるつもりだ。

2009.8.19

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本日キャストが明らかになった<悪い磁石>ですが、ジェボムさんも出演することが決まったようです。
そんなジェボムさんが初めて<悪い磁石>を観たときの感想をThe Musicalに寄稿していると聞き、探してきました。そして訳してみました。
一度は観てみたかった作品なので、ジェボムさんが出るというのがとても嬉しい。
自分でも似ているとおっしゃっているように、ゴードン(2009年でいうウォンソク)とても似合うと思う。
このインタビューで、변해가는 모든 것들 대한 아쉬움(変わっていくすべてのものに対する名残惜しさ)とおっしゃってるのが印象的。
素晴らしい演技を期待しています。
화이팅!!