19:00
山西惇
片平なぎさ
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3人ともが言葉にならないぐらいの熱演でした。
観ているこっちまで痛みや葛藤が、心の叫びが聞こえてくるようで、観終わったあとはしばらく放心状態に。
井上ひさしさんが最後に書こうとしていた作品を受け継ぐ形で蓬莱竜太さんが書き下ろし、栗山民也さんが演出を手掛けた作品です。
戦争を知らない僕が書くからこそ意味がある、と蓬莱さんが何かのインタビューでおっしゃっていたのを見ましたが、最後のメッセージ性は物凄く、戦争を知らないわたしたちが受け取るメッセージもかなり意味あるものだと感じました。
人口も少ない小さな町の文化会館ですが会場はほぼ満員で、終演後はスタンディングオベーション。
ありがとー!という言葉まで掛かったり、この町でもしっかりと作品のメッセージは届いていたようです。
藤原竜也さんは舞台で観るは初めてだったのですが、なんだか舞台で生きるってこういうことなんだなーと改めて思いました。
無邪気さや屈託のなさも、全て分かっているかのような見据えた目も、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになりながらの叫びも、全部わたしの心に届きました。
そんな藤原竜也さんを受け止める山西惇さんも凄かったです。
軍人としての威厳やプライド、敗戦を受けての迷いなんかがリアルに伝わってきて。
片平なぎささんははじめ何の役かよく分からなかったのですが、どうやら木の精かつ語り部のような役割の方。
さすがサスペンスの女王、語りもド迫力で素晴らしかったです。
最後のシーンでポロポロ涙を流されていたのが印象的。
2人を見守ってきた木の精として、全てを見て、包み込んで、突き放して…そんな木の心情を現しているのではないかな、と想像。
こう書くとかなりシリアスで激しいストーリーのような気がしますが、シリアスな中にもくすっと笑えるようなシーンもあり、会場からも笑いが漏れておりました。
ただ、新兵が木を降りる決意をしてから最後までは圧巻の一言。
俳優さんたちはこの舞台一回公演終わる毎に、寿命が一日ずつ縮まってるんじゃないかな。
舞台って生き物なので、一度しか観てなかいわたしがいうのも何ですが、映画やドラマでは描けない熱のようなものを感じたくて劇場に向かうのかもしれません。
素晴らしい舞台を魅せてくれて、本当にありがとうございました。